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   つづき
■施工計画書の作成
1)施工計画書
施工計画書は、総合施工計画書と工種別施工計画書の二つの大きな項目に分けられる。
a.総合施工計画書
工事全般について仮設を含めた施工計画書で、記載要点は以下のようになる。
(1)請負者の組織(組織表)
・現場施工体制(現場職員構成、工種別責任者、電気保安技術者)
・現場管理体制(総括安全衛生責任者など)
(2)全体工程(工程表)
(3)諸官庁申請リスト
(4)現場仮設計画
・仮設建物の大きさおよび位置
・電力、電話、給排水、ガスなどの引込みならびに火を扱う場所
・工事施工のための仮設(揚重、運搬、ストックヤード、養生など)
(5)予想される災害、公害の種類と対策
(6)出入口の管理
・関係者以外の立入禁止
・出入口の交通安全
(7)危険箇所の点検方法
(8)緊急時の連絡方法(掲示)
(9)火災予防(消火器、吸い殼入れなど)
(10)夜間警戒(火災、盗難、安全の必要時期および範囲)

b.工種別施工計画書
工種別の施工計画書であり、スリーブ・インサート工事、配管工事、ダクト工事、保温・塗装・防せい工事、機器搬入据付け工事、自動制御設備工事、給排水衛生設備工事、ガス設備工事等がある。(詳細は省略)

2)施工要領書・施工要領図の作成と説明
防火区画・防水層貫通の施工方法や支持固定方法、機器・器具まわりの接続配管をディテールとして作成する。施工要領書・施工要領図は、作業員に施工計画書とともに十分説明し理解させることが重要である。

3)施工図
施工図は、施工計画書の中でもっとも重要な計画書といえる。そのため使用材料、取付け方法、取付け位置が明確に表現されていなければならない。施工図の優劣そのものがそのまま施工品質に影響を及ぼすので、作成にあたっては十分な知識が必要となる。
施工図の作成には次のことを注意する。
(1)総合施工計画書、工種別施工計画書、設計図の内 容と相違がないことを確認
(2)風量、水量のバランス・防火区画・建築の仕上り 寸法等を確認
(3)他業者との収まりの取合いを確認
(4)他業者を含めた施工手順を確認
(5)他業者との接続位置を確認
(6)施工スペースを確保した納まりの確認
(7)将来のメンテナンススペースを確保した納まりの確認
(8)設計変更追加工事等で施工図の修正が発生した場合は修正履歴を明示し、監理者の承諾を得る。(施工図の種類等、ここでは省略)

■施工中の品質管理
施工計画書の品質計画に、個別の工事における作業フロー、管理項目、管理水準、管理方法、監理者・管理者の確認、管理資料・記録等を記載した管理表(QC工程図)を用いて品質管理を行う必要がある。綿密な施工計画をしていても、現場の施工条件などにより計画との相違が発生する。手もどり・手直し工事の発生を防止するため、日常の現場巡視を実施して問題点を把握し、早期に処理しなければならない。
1)問題点の把握
施工図・施工要領書・施工要領図に基づいた施工が実施されているか、施工上の問題は発生していないか、QC工程図に基づき現場巡回で確認し、記録に残す。

2)問題点の処理 問題点が発生した場合は早期に処理方法を検討し、処置をしなければならない。不適合を発見した場合は、即座に作業を中断し、作業員に的確な指示を出し修正する。不適合の原因を究明し、改善をし、記録に残すことも重要である。

3)変更の処理 問題点の処理において計画変更が生じた場合は、建築・他業者と調整を行い、設計者、監理者の承諾を得る。施工図の修正を行い、作業員に変更指示書を出して施工する。追加変更工事が発生した場合も、追加変更指示書に基づき、同様に処理する。

■検 査
検査は、要求品質事項が充足されていることを検証する活動である。状況や品物の状態を測定する「試験」を行い、その試験結果を基準に「検査」を行い、合否判定を行うわけであるが、そのためには「検査の目的」、「検査対象物」、「検査時期」、「検査実施者」、「試験方法」、「判定基準」、「検査手順・内容」を明確にしておくことが重要である。要求品質を把握せず、検査項目をいろいろ増やすことは、コストを無視した計画となり、正しい品質管理とはいえない。顧客または監理者とよく協議し、どのような検査を行えば品質保証が行えるかを確認する必要がある。
また、検査により発見された不適合事項を、どのように是正するかを定めた手直し手順計画は、あらかじめ明確にしておくことが重要である。以下に工事工程に合わせた検査種類を記す。
1)機材納入畤の検査
a.受入れ検査
受入れ検査とは、受け入れる製品のよしあし、および性能機能・品質を確認する検査で、破損・変形・傷の有無・すきまの確認など目視確認による検査と、製品の素材・品質・機能・性能などを機材納入仕様書と照合する検査とに分けることができる。

2)施工中の検査
a.日常の検査
(l)水圧・気密試験による漏えい検査
(2)位置や納まり寸法・配管こう配などを確認する計測検査
(3)施工図や施工要領書・要領図で定めた施工が確実になされているかを目視で検証する確認検査
(4)接続の間違いなどを発見するシステム検査など、次の工程に要求品質を確実に送るための検査
b.施工途中に受ける検査
(1)設計事務所や社内の品質管理責任者などによるできばえを含む総合検査
(2)隠ぺい部を中心に受ける消防中間検査や、施工途中に完成するボイラ、圧力容器検査などの官庁検査
(3)納入業者の工場に出向き製作過程の管理状況および製品の仕様・機能確認を実施する工場検査
c.最終検査
最終検査は、要求品質を満たした設備を施主に引き渡すためのもので、製造工場でいうところの出荷時検査である。
(1)引き渡す設備が要求する機能、性能が確実であるかを検証する性能検査
・単独の機器あるいは設備で行う機能、性能検査
・システム全体で行う機能、性能検査
(2)施工途中で実施した検査が、すべて確実に是正さ れていることを確認する確認検査
d.瑕疵(かし)検査
契約に瑕疵検査が含まれる場合に実施する検査で、通常6か月検査、1年目検査、2年目検査という形態をとる。検査方法は、顧客とのヒヤリングにより不具合事項を抽出したり、外観目視検査を行う。また、実負荷がないためにシステム全体の機能・性能が確認できない場合にも、瑕疵検査となる。これら検査試験の結果は、使用開始とともに実施される保守・保全に活用されるのみでなく、後日問題が発生した場合の解決策の糸口ともなるので、正確な記録を保管することが重要である。



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